6月23日

923

母恋歌
         八十を過ぎた母さんに
        なんで辛いと泣けましょう
      小さくなってしまったあなたに
       なんで涙 見せられましょう 

         何も無い振りしてたのに
     私の手を取り撫でながら
     「こんなに太い節になって・・・」と
      乾いたその手で抱きしめました

        はらはら落ちた母の涙は
     全ての くやしさ許せるようで
           かつて子宮にいた頃の
       ぬるく優しく切ない海です

               どんな私をも
        待っていてくれたのですね
               いくつの私をも
         待っていてくれるのですね

      もう一度だけ もう一度だけ
    母さんの胸で泣いても良いですか
      もう一度だけ もう一度だけ
老いた母を 泣かせても良いのですか


2014年 9月 23日掲載
Home » みどりうさぎの子守詩 (片井 絽々) » 6月23日 (現在のページ)