半月の夜・・・2018・9・15

0910


半月の夜

体温18度
心も体も仮死状態
酸素を無くした
ミトコンドリアは
どれ程の愛を与えても
死を選ぶしかない
かすかな記憶の夜空に
満月が浮かぶ
突然の君の手が
満月を半分に割いた
オレンジ色に輝く半月を
その手に乗せて差し出した

私は戸惑い首を振った
君は何ら躊躇も無く
私の胸を開くと
半月を体内へ押し込めた
甘酸っぱい香りが
温かさと共に満ちて来る
恐々目を開けると
君の自慢気な顔があった
ミトコンドリアは
深い呼吸を3度繰り返し
月光の温度へと体温を促す
再び体と細胞と心が
宇宙と繋がった


2016年 9月 15日掲載
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