みどりうさぎの子守詩 (片井 絽々)

1225
Our Father, who art in heaven,
hallowed be thy name;
thy kingdom come;
thy will be done,
in earth as it is in heaven.
Give us this day our daily bread.
And forgive us our trespasses,
as we forgive them
that trespass against us.
And lead us not into temptation;
but deliver us from evil.
For thine is the kingdom,
the power, and the glory,
for ever and ever.

Amen.

2014年 12月 25日 掲載

1218

「 四季めぐり 」

白い雪が舞うと思い出します。
二度と会えないはずの人と
季節の中で出逢うのですね。

誰もがいつか季節の流れに
そっと溶けて四季を巡るのですね。
あなたは母さんと逢えましたか?

過ぎた景色の中の心模様
多くを語らず 春を待つ
あなたは愛した人の傍にいますか?


2014年 12月 18日 掲載

141129
「七十二候」



繊細な風景に抱かれながら
その微々たる移りを
風の色で知る
四季色の鉛筆で線を引き
二十四節季色の水で溶かし
七十二候色の顔料を挿す
人の心も移りゆくと
星の位置と月の形で知る
巡り行くもの巡り廻りて
再び出逢う定めと知る


2014年 11月 29日 掲載

1127
「珈琲」

熱い珈琲に
一粒 ダイヤモンド
長き過去の固まり
マニキュアの指先で
つまんで入れた

もう一粒
ダイヤモンド
思い込みの違い
かき混ぜれば
未来記憶の液体になる


2014年 11月 27日 掲載

1120

「 流星 」



地球は
淋しがりやの星だから
月と一緒に揺られます。

人達は
切なく生きる動物だから
愛する心をもらいました。

晩秋の星座は
遠くの誰かに逢いたくて
夜の空を飛びました。


2014年 11月 20日 掲載

1

[あきらめ]

泣きながら産まれ
なきながら往く

揺らぐ日々が多くとも
そういうものだと諦めてみる

むしろ楽に
生きられるのかも知れない


2014年 11月 15日 掲載

1018

「春夏秋冬」

冬が寒いと嘆く程
意気地なしではありません。

夏が暑いと喚くほど
愚か者でもありません。

ただ ただ、
季節を受け入れて
秋が来るのを待ちました。

ただ ただ、
時の流れに心を合わせて
春が巡るのを迎えます。

誰も季節に逆らえるほど
強い心などありません。

移る季節に流されるのが
弱いことでもありません。


2014年 10月 18日 掲載

1003

[ 優しい法則 ]



切なさの中でも日々は
変わらずに止まらずに

未来永劫なる時空は
冷静で優しい法則で進む

老いた母に言わない悲しみ
素振り見せず時の過ぎゆくを待つ


2014年 10月 03日 掲載

923

母恋歌
         八十を過ぎた母さんに
        なんで辛いと泣けましょう
      小さくなってしまったあなたに
       なんで涙 見せられましょう 

         何も無い振りしてたのに
     私の手を取り撫でながら
     「こんなに太い節になって・・・」と
      乾いたその手で抱きしめました

        はらはら落ちた母の涙は
     全ての くやしさ許せるようで
           かつて子宮にいた頃の
       ぬるく優しく切ない海です

               どんな私をも
        待っていてくれたのですね
               いくつの私をも
         待っていてくれるのですね

      もう一度だけ もう一度だけ
    母さんの胸で泣いても良いですか
      もう一度だけ もう一度だけ
老いた母を 泣かせても良いのですか


2014年 9月 23日 掲載


913


「千年の孤独」

千年の月 夏還し
想い余して
夕焼け空が沈む

千年の月 秋降らし
風がしみると
コオロギが啼く

千年の月 冬控えさせ
銀色の矢羽根を
星が射ち放つ

千年の月 気まぐれに
心 奪いて
人を叶わぬ恋に泣かせる

千年の月 千年の孤独
夜に吊るされ
何を眺め何思う

2014年 9月 13日 掲載

910
「紅い月の華」

紅い月 満ち満ちて
紅い雫 ひとすじ舞う夜

終わらない夏を終わらせたのは
プアゾンの花 蔓珠沙華

踊れ踊れ狂おしいほどに
気持ち裏腹 嘯いたまま

ひたすら待っても秋は巡らず
ジェラシーの花 蔓珠沙華

紅い月 満ち満ちて
紅い涙 ひとすじ落ちた

2014年 9月 10日 掲載

826
「よわむし」
   
はだか電球の中で
燃えるフィラメント
セピア色のままの記憶は
遠い遠い 遠い日

夜を切るような
指先の真っ赤なマニキュア
泣きながら塗り重ねて
強い強い 強い私に

弱虫なのは昔からで
老いて尚更だと独り笑う
淡々と生きられたなら
もっと人生は楽なのだろうか


2014年 8月 26日 掲載

0805
「円周率」

小数点以下で
永遠的に途切れないから
疲れてふと立ち止まる
そこは昨日と明日の境目

乱雑に見えて
規則に逆らえない円周率
まるで自分の心模様
ここは寂しい人混みの中

どこまで追い続けたなら
諦めがつくのだろうか?
割り切れられないものならば
数字の流れにまかせてみようか?


2014年 8月 05日 掲載

0715
「星になる花」

夏の夜
夢見て咲くは
星の花
夜空を飛びて
星になる花

夜空を見上げ
咲いてみる
飛んでみる
願わなければ
夢にもなるまい

何時の夜にか
星になる
夢 叶うようにと
散ることもせず
もう一度 飛んでみる
 
夏の夜
夢見て咲くは
星の花
何時の夜にか
星になる花


2014年 7月 15日 掲載

712
「うしろ姿」

.
群青色の空を残して
夕陽が帰ります。

引き潮の後を追えず
小さな魚があわてます。

八時を告げる鳩時計は
間に合わずに泣きました。

私は大切な夢の後姿を
見失いたくなくて走ります。

.

2014年 7月 12日 掲載

0707
「七夕の夜」

今宵・・・
この 天の川を越えて
向こう岸で
待っている君に
逢いに参りましょう。

幾千の・・・
花が星の如く瞬く夜を
たくさんの夢を
積んだ船で
渡りましょう。


2014年 7月 07日 掲載

73

「お地蔵様」


    ばあちゃんは
    身体の弱かった私をおぶって

  オンカカカビサンマエイソワカ

    この子が元気になりますように。
     この子をどうぞお守りください。

  オンカカカビサンマエイソワカ

    毎日 お地蔵様に
    おまいりをしてくれました。


2014年 7月 03日 掲載

0628
「気紛れな花」


雨に打たれた
昨日の色も

朝の陽を待つ
今朝の色も

同じ夢みる
同じ花

気紛れな花と
呆れますか?

移り気な花と
笑いますか?


2014年 6月 28日 掲載

  625
「こんな日は」
     



こんな日暮れは猫になろう
遠い誰かを呼ぶような 
悲しげな声で
泣いてみようか
  
こんな夜には猫になろう
冷えた心と冷たい指先
誰かの身体に
擦りよせて

こんな朝には猫になろう
窓辺の日射しを
追いながら
優しさ探して転がって

こんな日には猫になろう
疲れた心
投げ出したまま
何もしないで眠ろうか


2014年 6月 25日 掲載

6021
「祈り歌」


森の
しじまに
ま白き
十字架の花よ

この大地が
穏やかに
季節を
育むことを

戸惑い
飛び交う想いが
安らかに
眠ることを

祈るように
咲きて
願うように
歌いて白き花よ


2014年 6月 20日 掲載