8月14日・・・2話 ばあちゃんの話 1

ばあちゃんの話

ほんとだよ!熱にうなされ眠れない夜・・・
大好きだったばあちゃんが、私の側に来てくれたんだ・・・。

ばあちゃんは、お向かいの家で一人暮らしをしていました。
親戚でも何でも無かったのに何故か ばあちゃんと私は本当の親子みたいだったし、
とびっきりの友人であったように思います。
毎日のように我が家のおかずを 1品か2品お皿にのせては、台所から自分の家のように上がり
時間の許す限り いろんな話をして笑ったり泣いたりしたものです。

我が家の庭の草はコツコツとばあちゃんが引いてくれていました。
夏の夕方 一緒に草引きした ばあちゃんと私の手足は蚊に刺されて大きく腫れ上がっていました。
ばあちゃんは、自分と私にキンカンを塗りながら「お前とばあちゃんは、体質まで一緒やね」って
涙を流す程大笑い!まるで自分の子供のように思ってくれていました。

そんな日々が、何年も変らずに続きました。
そして そして、ばあちゃんは時々おかしなことを言い出したのです。
朝と夜を間違えて私が来ないと心配していたり・・・
柱に蟻がいっぱい這っていると言って殺虫剤をかけてみたり・・・
ある日の事 「お前 ばあちゃんが死んだらどうするぞ?」と 真顔で聞くのです。
私は子供みたいに「ばあちゃん死んだらイヤや!」と・・・
そして、その一週間ほど後 突然、脳梗塞で倒れました。

病院のICUで子供さん方に囲まれたばあちゃんは、既に意識もありませんでした。
「ばあちゃーん」私は声にならない声で何度も呼び続けていました。
ばあちゃんの手はもう 悲しいほど冷たい手で・・・
これで最後かも知れないと思う辛い時間が過ぎました。
みんなに促され「ばあちゃん帰るよ、またね」と告げました。
その時!ばあちゃんは、私の思いが聞こえたのか 声が分かったのか、
目を開けようとするかのように・・・何度も何度も目をしばつかせるのです。
そして!そして!!一瞬ですが、ばあちゃんは目を開けたのです。

ばあちゃんは、最後に私の事を見てくれた・・・
ばあちゃんは、ちゃんと私を見てくれたのです。

誰も信じてくれないと思いますが、私だけには確信があります。
不思議な話ですが・・・
布団の中で握っていた冷たいばあちゃんの手が、しっかりと私の手を握り返してくれたからです!
精いっぱいの最後の力で・・・・・ねえ、ばあちゃん!
毎年、お盆になると恋しく淋しく思い出す ばあちゃんのお話です。

2011年 8月 14日掲載
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