母恋唄・・・・・2011・9・16


「母恋唄」

八十を過ぎた母さんに
なんで辛いと泣けましょう
小さくなったその背を見たら
何も無い振りしていたいのです。

あなたも陰で泣きながら
笑顔で育ててくれたこと
今になって知りました
ここまで生きて やっとわかった。

八十を過ぎた母さんに
なんで涙 見せられましょう
あなたが私を呼んだから
いつも通りに振り向いたけど

なのに なのに 母さんは
この手を何度も撫でながら
「こんなに太い節になって・・・」と
老いたその手で抱きしめました。

はらはら落ちた母の涙は
全ての くやしさ許せるようで
かつて子宮にいた頃の
ぬるく切ない海でした。

どんな私をも
待っていてくれたのですね。
いくつの私をも
待っていてくれるのですね。

もう一度だけ もう一度だけ
母さんの側で泣いても良いですか・・・

2011年 9月 16日掲載
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