つきあかり・・・・・2011・10・28


「 つきあかり 」
 


露天風呂に
満ちはじめた月が泳ぐ

母と私
夜に散らされた星の下

無言の母は
月を見ているのだろうか?
星を眺めているのだろうか?

夜空に目を向けたまま
思い詰めたように
母が ぽつりと話し始めた

「母さんは、
子供達や孫達が
ひとりも欠けず生きていること
それが一番の幸せです」

「けれども、
何時も あんたは
幸せって 言ってくれるけど
本当の幸せになって欲しいのです」

さっきまで見えていた月が
見えなくなった

母と私
夜の星達が滲んで見えた

かあさん・・・私は幸せだから
かあさん・・・私は大丈夫だから

2011年 10月 28日掲載
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