みどりうさぎの子守詩 (片井 絽々)


「 いつのまにか 」

風景は
この目で見ていると
疑わなかった

春に山笑う さくら色
夏に木々深く みどり色
秋に舞い散る あかね色
冬を覆う 白き色

時の流れは
この耳が聞いていると
錯覚していた

春に開く 花の音
夏の星座 煌めく音
秋に羽を擦る 虫の音
冬に凍えて 月の音

心に届く 景色だった
心で聞いた 音だった
気付かぬままに
季節が過ぎた

2011年 4月 16日 掲載


「宿題」

どれ程の苦しみに出会おうと
どれ程の痛みに泣こうとも

自分に耐えられぬ程の宿題は無く
自分に終われない程の宿題は無く

それが人それぞれの
切なさなのだと 誰かが言った

2011年 4月 14日 掲載


「赤き糸 」

この左手のくすり指
きつく巻かれし 赤き糸

この身の涙 滲みし色よ
手繰る程に 濃く染めし

この左手の くすり指
きつく絡みし 定め糸

この身放てる 術も無く
逃げる毎に 引き止められて

この左手の 赤き糸
永遠に絡めた 運命糸

霞の空に舞う 桜花
はらはら散る刻 淡き花
川面に流れ 運命花

とどまり
追い付き 
寄り添いし

この左手のくすり指
互いの命 繋げて流れる

永遠に契りし赤き糸
君と絡めし運命糸

2011年 4月 12日 掲載


「笑顔の作り方」

かなしい歌しか唄えない私に
小さな子供が教えてくれました。
「ほら、こんなふうな
お顔にするとかわいいよ」

うつむいてばかりの私に
老いた人が教えてくれました。
「いまのうちに 空をみて
おかないともったいないよ」

そうですよね・・・
本当に そうですよね・・・

2011年 4月 10日 掲載


「空」

全ての命は 天空で生まれた
全てのモノは 空から降りてきた

身体は どこまでも外側へと繋がって
心は どこまでも内側で繋がっていく

だから 空を見上げると
こんなに懐かしく思えるのですね。

だから 空を見上げると
こんなにも穏やかな気持になれるのですね。

2011年 4月 08日 掲載


「 時 」 

時を刻む音は
ひとりひとりの鼓動だった

身体ごとに違う早さで
ひとりひとり違う音がした

時は宇宙との約束ごとで
ひとりひとりの記憶だった

急ぐことなんかない
あなたらしく過ぎれば良い

焦ることなんかない
あなたの記憶で進めば良い

2011年 4月 06日 掲載



「心巡り」

春は来ますか?
緑色を無くした大地にも・・・

蝶は飛びますか?
花の咲かない野辺山にも・・・

そう、春は必ず訪れます。
季節は必ず巡ります。

永遠なる天空に
長さと深さは区切りなく

僅か30000日の人の日々まで
すべてを把握し巡ります。

きっともうすぐ花が咲き
花が咲けば蝶が舞う

心に巡る春の頃
春へと辿る人の心

2011年 4月 04日 掲載


「神聖な場所」

見えないモノの無限
触れないモノの偉大さ
聞こえないモノの神秘

神聖な景色の中で
遠い記憶を思い出している
バーチャルな世界で失った何かを
再生しているようだった

忘れていた深い呼吸が甦る
全ての細胞が一斉に分裂を始めた
身体の真ん中でドクン!と
魂が2回跳ねた

生きているではなく
生かされていることを 思い出した

2011年 4月 02日 掲載


「やさしさ」

優しさの
隣には

悲しみの心と
強い心が
ありました。

2011年 4月 01日 掲載


「いのち」

この星で
この父とこの母の子として
生まれ来た命よ

1/2億5千万の奇跡の意味を
どれだけ解って生きていたのだろうか?

2011年 3月 28日 掲載


「花色心」

幼き日
花弁集め 色絞り
水の花色
同じ色に心染まり

老いて再び
花摘みて
同じ色に心染まれと
願ってみても・・・

願ってみても・・・

2011年 3月 26日 掲載

 

「星の協奏曲」

星が奏でる協奏曲
音も無く
言葉も無いまま
ただ 滲みわたり
ゆらぎユラリ揺らぐだけ

瞼を閉じても届く調べ
音も無く
言葉も無く
ただ 心へと
きらりキラキラ煌くだけ

遥かな過去に記憶した
遠い原子の思い出よ
星が奏でる協奏曲
愛しく優しく漂い続ける

ゆれて揺らぎ・・・
きらきら煌き・・・

2011年 3月 25日 掲載


「親子」

心配性なところも
この低い鼻も
取り越し苦労ばかりするのも
胃腸の弱いところまで そっくりで

おまけにこの頃
後ろ姿まで似て来たって

良いところなんて
ひとつも無い
けれども親子だから
仕方がない

でも・・・
父さんに似ていて良かったと思う
そう・・・
母さんに似ていて良かったと思う

2011年 3月 23日 掲載

 

「手紙」

おばあちゃん・・・
あの子が先に
そちらへ往きました。

私が替わって
あげたかったけれども
仕方なかったのです。

迷わぬように
寂しくないように
どうか宜しくお願いします。

また逢えるから
それまで待っていてと
あの子に言い聞かせて下さい。
 
                   母より

2011年 3月 22日 掲載


「祈り星」

夜空にさんざめく
星たちは
遠き過去より
命を紡ぎ
遥か未来へと
想い繋ぐ

静寂に揺らぐ
星の瞬き
命生まれて
一筋に飛ぶ
地球という名の
祈りの地へと

夜明けに消えて西の空
星は帰りて
命 消えても
再び戻りまた巡り
命となって必ず逢える

再び巡り命となって
必ず出会い 必ず逢える

2011年 3月 21日 掲載


ねむの木

現世に生きる道すがら
夢を見る
夢を見る

刹那の悪夢と
また 歩き出す

未来を眺める時空間で
夢を見る
夢を見る

碧き星は
神々しく輝いていた

まどろみの中で目を開けると
若き日の 母の胸に
抱かれていた

その背景には 大きな大きな 
ねむの木が
綿毛のような花を咲かせる

天空を染めるほどに
優しく静かな 花色だった

穏やかな 揺らぎに包まれて
夢を見る
夢を見る

2011年 3月 19日 掲載


「人の心」

傷ついた細胞は自ら消えます。
傷ついた遺伝子を抱え消え去ります。

傷ついた心は・・・
傷ついた心は・・・

自分の心で消せるのですか?
時が抱え連れ去るのですか?

傷ついた心は・・・
傷ついた心は・・・

人の心でしか消し去れません。
人の想いに溶かさられ和らぎます。
人の優しさを知り忘れるのです。

傷ついたのは人の心・・・
傷を癒したのも人の心・・・

2011年 3月 18日 掲載


「月の花 」

母の庭に月が咲く
黄金色の月の花

私は何処ではぐれたの?
私は誰からはぐれたの?

母の庭に花が咲く
黄金色に香り立つ

私は何処へ行きたいの?
私は誰を探しているの?

母の庭が香り立つ
黄金色の金木犀

私は何処へ帰りたいの?
私は誰に逢いたいの?

私の未来を訪ねてきたの
私の未来も此処からでした

私は何を捜していたの?
私は何に逢いたかったの?

私は貴方に逢いたかった
私は貴方の所に帰りたかった

2011年 3月 17日 掲載


「森の子守唄」

星が揺れているの?
私が揺れているの?

月が泣いているの?
私が泣いているの?

森が唄っているの?
あなたが唄っているの?

愛しいものに逢いたくて
優しいこころへ
優しいこころへと

穏やかなものに逢いたくて
静かなこころへ
静かなこころへと

星が揺れているの?
私が揺れているの?

月が泣いているの?
私が泣いているの?

はじめて出逢ったはずなのですが
「どこかでお逢いしましたか?」

はじめて聞いた声が懐かしい子守唄のようで
「どこかで唄ってくださいましたか?」

森が唄っているの?
あなたが唄っているの?

こんなにも懐かしい子守唄
こんなにも優しい子守唄





「肌護り」

そっと忍ばせ身につけたこと

守られていると思う心が
この身を守ってくれること

自分に優しくできること
誰もに優しくできること

2011年 3月 16日 掲載

まほろば



穏やかな心 見失う時
澄んだ心 淀み漂う日

あてなく探す
かの まほろばよ
遥か遠き宙か古か?

すさむ思い 抱えきれず
切なき濃度 溶かしきれず

さ迷う心を 迎え誘うは
この まほろばよ
我が細胞の内の宙か?

総ての命と総ての祈り
そろりひそめて 源と知る




五弦の琵琶



涙 ひとつぶ 落としたような
五弦の琵琶の泣き音は
切ない今を想いて泣かせる

ひとつ弦ひき 我が子の声
ふたつ弦ひき 父親の顔
みっつ弦ひき 母の姿
よっつ弦ひき 君のこと
いつつ弦ひき 我が心

悲しい音しか 唄えずに
寂しい曲しか 奏でずに

涙 ひとつぶ 落としたような
五弦の琵琶の泣き音は
遠い昔を偲びて泣かせる
           
穏かなる音 聞かせておくれ
嬉しき曲を 奏でておくれ
           

2011年 3月 15日 掲載