みどりうさぎの子守詩 (片井 絽々)
「森の子守唄」
星が揺れているの?
私が揺れているの?
月が泣いているの?
私が泣いているの?
森が唄っているの?
あなたが唄っているの?
愛しいものに逢いたくて
優しいこころへ
優しいこころへと
穏やかなものに逢いたくて
静かなこころへ
静かなこころへと
星が揺れているの?
私が揺れているの?
月が泣いているの?
私が泣いているの?
はじめて出逢ったはずなのですが
「どこかでお逢いしましたか?」
はじめて聞いた声が懐かしい子守唄のようで
「どこかで唄ってくださいましたか?」
森が唄っているの?
あなたが唄っているの?
こんなにも懐かしい子守唄
こんなにも優しい子守唄
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「肌護り」
そっと忍ばせ身につけたこと
守られていると思う心が
この身を守ってくれること
自分に優しくできること
誰もに優しくできること
まほろば
あてなく探す
かの まほろばよ
遥か遠き宙か古か?
すさむ思い 抱えきれず
切なき濃度 溶かしきれず
さ迷う心を 迎え誘うは
この まほろばよ
我が細胞の内の宙か?
総ての命と総ての祈り
そろりひそめて 源と知る
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五弦の琵琶
涙 ひとつぶ 落としたような
五弦の琵琶の泣き音は
切ない今を想いて泣かせる
ひとつ弦ひき 我が子の声
ふたつ弦ひき 父親の顔
みっつ弦ひき 母の姿
よっつ弦ひき 君のこと
いつつ弦ひき 我が心
悲しい音しか 唄えずに
寂しい曲しか 奏でずに
涙 ひとつぶ 落としたような
五弦の琵琶の泣き音は
遠い昔を偲びて泣かせる
穏かなる音 聞かせておくれ
嬉しき曲を 奏でておくれ