みどりうさぎの子守詩 (片井 絽々)


20151114
遠い日

景色が止った時や
心が冷える日には
想い出してください

いつも傍にいるから
いつも此処にいるから


2015年 11月 14日 掲載

151113
リアリティーな朝


遮光カーテンが
朝を拒絶する部屋
遠慮知らずのアラーム音を
手探りでスライドする

枕元の自分の心を
ペットボトルの生ぬるい水で
いっ気に呑み込んだ
リアリティーな今日が始まる


2015年 11月 13日 掲載

151109h
紙ふうせん

  ひぃ ふぅ みぃ よぉ
     いっむぅ なぁ やぁ

  ばあちゃんの手が
  夢を数えて 浮かばせる

  いく度 落ちて来ようとも
  この手の中へ降りておいで

  ひぃ ふぅ みぃ よぉ
     いっむぅ なぁ やぁ
 
  ばあちゃんの声が
  孫に唄うよ 紙ふうせん
  
  ばあちゃんの手が
  また祈っては 浮かばせる

  ひぃ ふぅ みぃ よぉ
     いっむぅ なぁ やぁ

ほぅら ほら ここのつ とぉ


2015年 11月 09日 掲載

151106h
迷い道

 
  歩くと言う字は
  少し止まると書くのですね。

  少し止まりなさいと
  諭されているのでしょうか?

  それとも・・・

  止まるのは少しだよと
  叱られているのでしょうか?

  どちらにしても
  歩けば出会う迷い道ですね。


2015年 11月 07日 掲載

20151106
夢幻



 あれほどまでに
     染め上げた
 これほどまでに
     艶やかな

 くれない夢幻の秋姿

 あれほどまでに
     舞い散るを
 これほどまでに
     哀れと愛でる


2015年 11月 06日 掲載

 130922 (25) 
定めの中で

定めの中で人をする
寂しいのは誰も同じと
  
定めの中で夢をみる
追いかけるから遠いのだと

定めの中で恋をする
心は身体にひとつだけと

定めの中で生きている
だからこそ生きていると


2015年 11月 05日 掲載

20151102
飛翔

鳥達は
風だけを受け取り
前へ前へと進む

木々達は
太陽だけを見て
空へ空へと伸びる

人々は
過去も未來までも憂い
時の中で立ち止まる

空を見上げて明日へ
風に促されながらも前へ
光に抱かれたなら夢へ


2015年 11月 02日 掲載

151030
時の後ろ姿


群青色の空を残して
夕陽が帰ります。

引き潮の後を追えず
小さな魚があわてます。

八時を告げる鳩時計は
間に合わずに泣きました。

私は大切な夢の後ろ姿を
見失いたくなくて走ります。

もしも言葉を持っていたなら
声を限りに叫びましょう。


2015年 10月 30日 掲載

151027
母子坂

丸くなった母の背中が淋しいのです。
小さくなった母の姿が悲しいのです。

幼い日 手をつなぎ歌った道
夕焼けの中 お家へ帰った道
ほんの僅かなこの坂道を
ため息に押されては足を出す。

私はたまらずに立ち止まります。
何故にもっと もっと早く
心添えられなかったのかと悔いる
母の傍で暮らせないことを悔やむ

丸くなった母の背中が淋しいのです。
小さくなった母の姿が悲しいのです。

負われて見ていた 故郷は
僅かの間に過ぎ去ってゆきました。
母が生きた年月を
追いかけるように私も生きています。

丸くなった母の背中が淋しいのです。
小さくなった母の姿が悲しいのです。


拙い私の詩ですが、素晴らしい曲を数曲作ってコンサートで歌って下さっています。
母の、この詩をこちらで書かせて頂きました。 先生宜しくです(ペコリ)


2015年 10月 27日 掲載

1212

終止符

赤い星が
燃え尽きた時
無数の
新星を散りばめる
始まれば必ず
終るけれども
終止符は
出発の合図だった

影があるから
光を見るように
全ては
同時に存在するもの
憂いの中でも
必ずや
喜びや希望は
控えている


2015年 10月 24日 掲載

20151010

千年の孤独

 

千年の月 夏還し
想い余して
夕焼け空が沈む

千年の月 秋降らし
風がしみると
コオロギが啼く

千年の月 冬控えさせ
銀色の矢羽根を
星が射ち放つ

千年の月 気まぐれに
心 奪いて
人を叶わぬ恋に泣かせる

千年の月 千年の孤独
夜に吊るされ
何を眺めて何思うて


 

2015年 10月 10日 掲載

2015902

森の子守歌

星が揺れているの?
私が揺れているの?
月が泣いているの?
私が泣いているの?

愛しいものに逢いたくて
優しい心へ 優しい場所へ
穏やかなものに逢いたくて
静かな心へ静かな場所へ

森が唄っているの?
あなたが歌っているの?
こんなにも懐かしい声
こんなにも優しい唄

初めて出逢ったはずなのですが
どこかでお逢いしましたか?
初めて聞く声が遠い昔の子守唄のようで
どこかで歌ってくださいましたか?

星が揺れているの?
  私が揺れているの?
月が泣いているの?
  私が泣いているの?
森が唄っているの?
あなたが歌っているの?


2015年 10月 02日 掲載

9029 

祈り

想いと祈りは
距離も
時間も
飛び越えていく

形無き見えない
波動を
細胞は
認識して受け取った

 

2015年 9月 29日 掲載

15927

木霊 (こだま)

木霊を聞いている
不安な心が耳をそばだてる
そんなこと
どうでも良いこと
どっちだって良いことよ

木霊になれずに消えてゆく
いくら待てども返らない
それはそう
音にはしないから
言葉にはできないから

声にして呼んでみれば?
自分の心を叫んでみれば?
そうだよね
けれども音にすると
木霊になってしまうから


2015年 9月 23日 掲載

150920

夢路

朝夕の秋が冷えてきた
茜空を待ちかねて
幸せ達は
家路を急ぐ

寂しがりやの心は
何所へ帰ろう
早くおいで
夢の中で待っているよ


2015年 9月 20日 掲載

150826 (3)

「、」 の日

誕生日を迎えた朝
古びた人生に、読点を打つ
過去と未来の間で
わずかな隙間を取る日

私をくれた父と母へ
ありがとうを、告げる
切なさなんて知らなかった
あの頃を思い出す日

夢の続きを目指して
もう一度、飛び立てるように
人生の寂しかったことは
そっと許して忘れる日


2015年 9月 19日 掲載

15818
「夏ゆれて」

ひと夏が揺れている
見えない程の風に促されて

暑く熱かった景色が
僅かに別な色を加えた

僕は知っている
夕刻と朝を幾度か重ねながら

ひっそりと夏が
思い出に変わって行くことを

誰もが夏に疲れた振りして
寂しさを隠すのだろうね


2015年 8月 19日 掲載

149
「共鳴」


早い鼓動を
なだめるように
木霊住む深き森へ

細やかなイオンの粒子を
細胞が吸い込む
間脳が共鳴を始めた

忙しい心に
幸せは来ないから
長い息で身体に招く


2015年 8月 04日 掲載

15081h

「創造」

涙を集めて海をつくる

夢を固めて空をつくる

心を散りばめ星にする

想いひとつよ月になれ


2015年 8月 01日 掲載

731

「立螺の響けば」


明日など
必ずや来ると
気にも止めずに
生きている放漫さ

地球など
飽きもせずに
周る星だと
信じている傲慢さ

りゅうらの音色が
夜に響けば
満月は満ち満ちて
星の欠片は光となる

りゅうらの響きは
人の心に寄せて
うつろな命を
呼び覚ます



(立螺とは、ほら貝を立てる・吹く意味。)


2015年 7月 31日 掲載