みどりうさぎの子守詩 (片井 絽々)

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「不 変」

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六十を過ぎても
同じだったのは
幼い頃に母と見た星座

七十を過ぎても
変わらないのは
人を好きになれる心

八十を過ぎても
把握しきれないのは
自分がいつか終ること

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2013年 6月 08日 掲載

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「お見舞い」

子供の頃に 母さんが
泣いてる私に言いました。

「痛いの痛いの 飛んでいけ」
「痛いの痛いの 飛んでいけ」

大人になると効かない魔法 ?
けれども 何度も繰り返したら

きっと きっと効くような
そんな気がするのです。

「痛いの痛いの 飛んでいけ」
「痛いの痛いの 飛んでいけ」

何度も何度も繰り返し
あなたのために祈っています。

「痛いの痛いの 飛んでいけ」
「痛いの痛いの 飛んでいけ」

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2013年 6月 06日 掲載

2013527 
「紫の咲く」

雨の中に寄り添いて
咲いて微笑むこの紫さえも
立ち枯れてゆく
季節の流れ徒然に

それは まるで自分のようだと
泣き顔のままで笑ってしまう

雨を抱えて咲く紫の
儚さ切なさ愛しさ寂しさ

幾千の色
重ね重ねて紫陽花の花
幾千の風
受けて越えて紫の咲く

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2013年 5月 28日 掲載

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「紙ひこうき」

父がひ孫を膝に乗せて
チラシで作る紙ひこうき

その手もその目も
あの日と同じで

幼い頃の自分を重ねる
父の中にも私が重なる

いつまで覚えていてくれますか?
今のことを忘れ行く人

幼い私と今の私と
どちらが先かと選べるのなら

幼い私を忘れてください
今の私は忘れないでください。

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2013年 5月 25日 掲載

130524
 「繭」mayu

薄絹を
幾重にも幾重にも
絡ませて蒔きつけて

けれども儚い
繭の中に
心を丸めて目を閉じる

平穏な場所だと
思い込ませて
さまざまな色の思い抱いて

ねんねんころり
ねんねんころり

暫くここで眠ったら
羽のついた背中になって
薄絹の繭を這い出そう

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2013年 5月 24日 掲載

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「 燕 」
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燕 ひと筋に
空を泳ぐ

碧い光の時も
蒼い憂いの時も

悲喜こもごもの心
縫い合わせるように

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2013年 5月 21日 掲載

20130518
「 明日」
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昨日の一日に
何ひとつの答えも
見つからなかったけど
それはそれで仕方ない
これはこれでいいのでしょう?

今日の一日を
何ひとつ満足に
生きられないけど
それはそれで仕方ない
これはこれで諦めましょうか?

明日か明後日
笑顔になれたら
それはそれでいいのですね。

明日のことなど解らないけど
自分のことさえ分からないけど
それはそれでいいのですよね。

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2013年 5月 18日 掲載

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「紅を許して」

天色で染め付けた空
深き青に満ちた海
たとえば
紅色を許した夕刻

巡り来る日々の想い
必ずしも同じでは無く
たとえば
憂いを抱え眠れぬ夜

空さえも海さえも
紅の時を許すのだから
たとえば心よ
涙の夜を許しておくれ

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2013年 5月 14日 掲載

20130510
「 矢車草 」
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心に刺さった涙のような
青い花の淋しさよ
風に言われて北を向いた
空に呼ばれて西を向いた

眼を閉じ故郷へ向いて想う
幼き日々よ 夕焼け空よ
何ひとつ辛いことなど知らず
何ひとつ苦悩することなど無くて

振り向くと父が見ていてくれた 
どんな時も母が待っていてくれた

若かった頃の 父よ母よ
小さな私と弟よ
あの日の庭に咲いていた
矢車草が今年も咲いたと   
    
ただ 一緒に見たいと 思い出しただけのこと
ただ 一緒に頷きたいと 思い出しただけのこと

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2013年 5月 10日 掲載

130427
「 昔の夢 」

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あなたの側で語りましょう
終わりのない物語

宇宙を旅する風の話
七つの海を巡る魚の歌

ぐるぐる回って終わらないから
あなたはいつしか眠ってしまう

それでいい
それでいい  

幼児のような寝顔をして 
昔の夢を見てほしい

天国にいる母さんに
もういちど
抱き締めてもらえるように.

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2013年 4月 27日 掲載

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「 暮 春」

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せわしなく過ぎる
季節ひとつ

さりげなく胸に残す
物語ふたつ

春は暮れつつも
初夏の煌めきに続く

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2013年 4月 24日 掲載

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「 肯定 」

  時に早すぎることはなく
  時に遅すぎることもない
  今だからこそ
  良かったのだから

  想いに近すぎることはなく
  思いに遠すぎることもない
  心は人と人との
  真ん中にあるのだから
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2013年 4月 16日 掲載

130409

「 赤き糸 」

この左手のくすり指
きつく巻かれし赤き糸
この身の涙 滲みし色よ
手繰るほどに 濃く染めて

この左手のくすり指
きつく絡むは運命糸
この身を放つ 術も無く
逃げゆくごとに 引き寄せられて

この左手の赤き糸
永遠に絡めた運命糸
霞の空に舞う桜花
はらはら散る刻 運命の花よ
川面に流れし 花筏
離れ 留まり 追いつき 寄り添い

この左手のくすり指
互いの命 繋げて流れて
永遠に契りし赤き糸
君と絡めし運命糸

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2013年 4月 09日 掲載

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さくらいろ

百色の絵具
混ぜ合わせても
思い届かぬ桜色

   儚さ
   切なさ
   約束
   想い出
   別れ
   悲しみ
   歓び
   夢
   愛しさ
   希望

百色の心 寄り添いて
花色染まり さくらいろ 
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2013年 4月 08日 掲載

130406

 
「砂時計」
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六十兆個の心の粒が
六十兆個の夕暮れの中で
六十兆個の風に吹かれ
六十兆個のかすかな音になる

ひとり ひとりの悲しみは
ひとつ ひとつの星粒となり
煌めく約束の核を抱きて
もういちど心の分子となる

六十兆個の命の粒が
六十兆個の夜明けの中で
六十兆個のかすかな音と
六十兆個の花と咲く

ひとつ ひとつの輝ける粒は
ひとり ひとりの時を刻む

それはまるで砂時計だった
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2013年 4月 06日 掲載

130330
「 縁 」

父さんが母さんを 愛したこと
両親の所へ私が来たこと
  
アナタが私を見つけてくれたこと
私達の所に君の命が来てくれたこと

大人になった君が彼女を愛したこと
彼女も君を選んでくれたこと

そして再び
小さな命を抱かせてくれたこと

宇宙に続く一筋のドラマ
これを縁と呼ぶのでしょうね。

2013年 3月 30日 掲載

20130329
「 過去 現在 未来 」
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振り返り見る 赤い花も
既に僅かな過去の幻

愛しさ紡ぐ囁きも
耳に届くは過去の戯れ

記憶なんて曖昧だし
錯覚だらけの嘘かも知れぬ

刹那の今を信じたいのに
この一歩さえ未来へと彷徨う

赤い車で去り行く君を
時空の点になるまで見送る

悲しむなかれ
これも既に過去の虚像

あるもの全て過去へと過ぎ
時に押されて未来が寄せる

流されるまま それが良い
流れ行くまま それで良い

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2013年 3月 29日 掲載

20130320
「ひと泣き雨」

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穏やかな時を迎えるために
天空さえも風吹き荒れる

迷いに抗い 冬の終り
迷いに泣いて 春を待つ

ひと雨ごとの葛藤を
ひと泣きごとに流して悟る

冬心の時を抜ける為に
春心の時を微笑む為に

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2013年 3月 20日 掲載

20130319
「しあわせ」

「しあわせ?」って 君が聞く時
「しあわせ!」って 僕は笑って答える
でも、それは決まって 悲しみのど真ん中で
「しあわせ」なんかには ほど遠くて

それでも君は おまじないの様に繰り返す

「しあわせ!」
「しあわせ!」
「しあわせ!」

君が教えてくれたんだ
自分の言葉を いちばんに聞くのは 自分なんだと
言葉には不思議な魔法の力が あるのだと

だから君は 泣きながら
何度も なんども繰り返す

「しあわせ?」
「しあわせ?」
「しあわせ?」

だから僕は何度でも なんどでも
笑って答える

「しあわせ!」
「しあわせ!」
「しあわせ!」

I’m happy

When you ask me
“Are you happy ? ”

I smile and say
“I’m happy”

But it happens when we are blue
We are far away from happiness

But you keep saying
“Are you happy ? ”

You taught me this
You are the first one who hears your words.
Words have mysterious power

So you ask with tears
“Are you happy ? ”

And I smile and say many times
“I’m happy” “I’m happy”

2013年 3月 19日 掲載

130316

「流されて」

これは夢だと
誰かが言う

ああ 夢なのだと
私は思う

幸せだろうが
悲しみだろうが

すべてが夢なら
流れてゆこう

すべてを受け入れ
流されてみよう

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2013年 3月 16日 掲載